2017年6月1日木曜日

はじめに(Vol.01)



<<1989年発行「ハンディキャップを持つ人を描いた児童図書リスト」のはじめにから>>

国際障害者年が提唱され、来年は、はや10年を迎えます。「福祉」とか「障害」という言葉は、一般に浸透してきたようですが、障害をもつ人をとりまく「文化」も豊になったのでしょうか。
私たちひとりひとりが、この間少しでも障害をもつ人たちのことを考え、何をしてきたのかが、この10年間の内容を示すのだと思います。
さて、それでは、わたしたちの「障害と本の研究会」では、いったい何をしてきたのでしょう。何もたいしたことはできなかったけど、10年目を迎える節目に、近年の活動(1686~1989年)をここにまとめてみました。

<研究活動の概要>
毎月一回、研究例会をもち、次のような4つの面から研究活動をしてきた。

(1)「障害児と一般の子どもと一緒になって本の中で遊べる本」を作る。
  • 「赤いふうせん」を基に布の本を完成 = 幼稚園、養護学校、文庫などで子どもたちに利用してもらうなかで、子どもの発達と本のサイズという点で大きな示唆を与えられた。
  • 「あかいぼうしだれのかな?」 = 子どもがなぞ解きをしながら上部と横と両面からめくっていく布製の本を完成。 = 文庫、養護学校などで子どもたちが取り合いっこになるほど人気がありました。
  • 『あそびにきてください(ポプラ社刊)』を基に、布製とし、寝たきりの子ども向きに大型の壁掛けに作った。 = 寝たきりの子が寝がえりをしながらぬいぐるみの動物たちを友達にして自分の世界を広げていけるので、歩けない重度障害児たちに大よろこびされている。(サンケイ新聞に紹介)
  • 「ジェンケンポン」視覚障害の人にむけて作った切り絵による作品 = 手で触れながら本を相手にジャンケン遊びがしていけることでは楽しめるが、大きさや厚紙の材質などの点で、視覚障害の人から示唆をいただいた。
  • 「ゆりちゃんのいちにち」1才児の一日の生活を、母親と一緒に語り読みをする方法に作った絵本で、時計を子どもが操作して楽しめるようになっている。 = ゆりちゃんとお母さんがよく利用しているが、もっと他の1才児にも広げてみたいと思っている。
  • 「カレンダーであそぼう」発達年齢2~5才児くらいの子ども向けで、一年間のカレンダーの数字がとりはずして、組み立てられるようになったもので、布製で壁にもかけられるようになっている。 = これは、まだ出来たばかりでどこにも実践していない。週2回、日曜日を作って楽しむ子もでてくるかも。
(2)障害児の読書について知り、自分にできることをしていく。
  • 「障害児と本の研究会」で製作した本について、幼稚園、保育園、学童クラブ、子ども文庫、養護学校などで読み聞かせをしたり、子どもたちに貸し出しをしてきた。
  • 会員の幼年向けの短編のテープを貸し出しした。(文化放送から放送された作品)
    「まあるいまるとまあるいしかく」 小川政子 作
    「ゆきだるま」 星野美智子 作
    「じごくからよめさんつれて」 塚原静子 作
  • 「障害児の読書教育」国土社刊。勝尾外美子 菊池澄子 共著
  • 小学校、養護学校などで読み聞かせボランティアを行った。
(3)障害児に関わる子どもの本を読む

わが子に「今年読んだ本のうち、感動した本を5冊だけあげて・・・」といったら、そのうちの3冊までが障害をもつ子供が登場してくる本だった。という報告を受けたのは、1982年のことでした。そのお子さんはどんな点に感動したのでしょう。
「わたしたちも障害児を描いた子どもの本を読んでみましょう。そしてお互いの障害児観に差別や偏見はないか、日常生活を振り返りながら自分の人間観を見直し、より「愛」のある生き方を求めたいですね。
このような理由から「障害児と本の研究会」では、3年ばかり前から障害児に関わる子どもの本を積極的に読み始めました。
そこで、自分自身の人間観(障害児観)を見直すためにも、ただ読みっぱなしにして「よかった」だけで終わるのではなく、感想やあらすじを書きとめることにしました。その感想について、ディスカッションを積み重ねながら、お互いが育ち合ってきたような気がします。
「60冊」近くにもなったこの感想文を、わたしたちだけの手元に置くだけでなく、より広い場で役立てていただければと願い、今回の講座を機会に冊子にまとめてみました。どうかご利用ください。

(4)障害児に関わる子どもの本のリストづくりをする

障害児を描いた子どもの本を読むことと平衡して、リストづくりをはじめました。はじめは100冊ぐらいは出版されているかしら?といっていっていたのですが、その気になって目を向けていくと(1960~1988年)約30年間に180冊近くにもなっていました。これでも、まだ落ち度があることでしょう。もし、お気づきになりましたら、あなたの一冊も書き加えてください。


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障害に関することを描いた子どもの本リスト
List of children's books that describe impairments, disabilities and handicaps
はこちらか購入することができます。
お問合せもこちらにどうぞ。

子どもの本の研究会 障害と本研究部ホームページ


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Vol.30 p23 あいうえお絵じてん : 手話・指文字入門

Vol.30 p23 あいうえお絵じてん : 手話・指文字入門 (聴覚) (小・低学年から) 内容 表紙を開くと、表紙裏のページが真っ赤な見開きになっていて、大きな黒文字で「指文字五十音表」と書いてある。指文字の隣にカタカナ文字も書かれ、50音表と濁音、半濁音、促...